- 民法第476条
- 前条の場合において、債権者が弁済として受領した物を善意で消費し、又は譲り渡したときは、その弁済は、有効とする。この場合において、債権者が第三者から賠償の請求を受けたときは、弁済をした者に対して求償をすることを妨げない。
- 平成29年改正前民法第477条
- 前2条の場合において、債権者が弁済として受領した物を善意で消費し、又は譲り渡したときは、その弁済は、有効とする。この場合において、債権者が第三者から賠償の請求を受けたときは、弁済をした者に対して求償をすることを妨げない。
条文の趣旨と解説
弁済者が処分権のない他人の物を引き渡した場合、その弁済は無効ですが、善意の債権者を保護し、かつ、債権者及び債務者間の法律関係を簡明にするため、債権者が弁済として受領した物を善意で消費又は譲渡したときは、その弁済は有効となり、債務は消滅します(本条前段)。
しかし、本条前段の効果は、その物の所有者の地位には影響を及ぼさず、物の所有者は、債権者に対して所有権に基づく返還請求又は不当利得の返還請求をすることができます。債権者が第三者から賠償の請求を受けたときは、債権者は弁済者に対して求償をすることができます(本条後段)。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 総則
- 債権の消滅
- 弁済
- 総則
- 民法第473条 – 弁済
- 民法第474条 – 第三者の弁済
- 民法第475条 – 弁済として引き渡した物の取戻し
- 民法第476条 – 弁済として引き渡した物の消費又は譲渡がされた場合の弁済の効力
- 民法第477条 – 預金又は貯金の口座に対する払込みによる弁済
- 民法第478条 – 受領権者としての外観を有する者に対する弁済
- 民法第479条 – 受領権者以外の者に対する弁済
- 民法第481条 – 差押えを受けた債権の第三債務者の弁済
- 民法第482条 – 代物弁済
- 民法第483条 – 特定物の現状による引渡し
- 民法第484条 – 弁済の場所及び時間
- 民法第485条 – 弁済の費用
- 民法第486条 – 受取証書の交付請求
- 民法第487条 – 債権証書の返還請求
- 民法第488条 – 同種の給付を目的とする数個の債務がある場合の充当
- 民法第489条 – 元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当
- 民法第490条 – 合意による弁済の充当
- 民法第491条 – 数個の給付をすべき場合の充当
- 民法第492条 – 弁済の提供の効果
- 民法第493条 – 弁済の提供の方法
- 総則
- 弁済
- 債権の消滅
- 総則
- 債権