民法第483条
債権の目的が特定物の引渡しである場合において、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らしてその引渡しをすべき時の品質を定めることができないときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。
平成29年改正前民法第483条
債権の目的が特定物の引渡しであるときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。

条文の趣旨と解説

特定物の引渡しを目的とする債務については、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らしてその引渡しをすべき時の品質を定めることができないときは、弁済者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡すべきことを規定しています。

しかし、売買契約の場合には当事者間の合意によって引き渡すべき特定物の品質が定まることから、本条が適用されるのは、売買以外の契約に基づき特定物の引渡しをしなければならない場合や、不当利得返還請求権に基づき特定物の引渡しをしなければならない場合に限定されると考えられています(法制審議会民法(債権関係)部会『部会資料83-2』)。

条文の位置付け