民法第478条
受領権者(債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をいう。以下同じ。)以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。
平成29年改正前民法第478条
債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。

条文の趣旨と解説

債権者等の受領権者以外の者に対してされた弁済は無効となるのが原則です。
しかし、取引の安全を保護するため、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対する弁済を、その弁済をした者が善意であり、かつ過失がなかったときには、例外的に有効としています(本条)。

なお、平成29年改正前民法においては、「準占有者」という文言が使われていましたが、用語自体が分かりにくい上、債権者の代理人と詐称して受領する場合も含むのかという議論も生じていました。そこで、改正民法においては、「受領権者としての外観を有するもの」との文言に改められました。

条文の位置付け