- 民法第458条の3
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- 主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2カ月以内に、その旨を通知しなければならない。
- 前項の期間内に同項の通知をしなかったときは、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することができない。
- 前2項の規定は、保証人が法人である場合には、適用しない。
条文の趣旨と解説
平成29年民法(債権関係)改正により新設された規定です。
保証人は主債務者の履行状況について必ずしも把握しているわけではないため、主債務者が期限の利益を失った場合には、元本債務の全部を履行しなければならない上、遅延損害金も支払わなければならないという負担を負うこととなります。
そこで、主債務者の不履行によって保証人が予想外の負担を負うことを防止するため、改正民法では、主債務者が期限の利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、期限の利益の喪失を知った時から2カ月以内に、その旨を通知しなければならないと定められました(本条1項)。
債権者がこの通知をしなかったときは、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から現に通知をするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずる遅延損害金を除く。)に係る保証債務の履行を請求することができないこととされています(本条2項)。
これらの規律は、個人保証人を保護するための規定であり、保証人が法人である場合には適用されません(本条3項)。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 総則
- 多数当事者の債権及び債務
- 保証債務
- 総則
- 民法第446条 – 保証人の責任等
- 民法第447条 – 保証債務の範囲
- 民法第448条 – 保証人の負担と主たる債務の目的又は態様
- 民法第449条 – 取り消すことができる債務の保証
- 民法第450条 – 保証人の要件
- 民法第451条 – 他の担保の供与
- 民法第452条 – 催告の抗弁
- 民法第453条 – 検索の抗弁
- 民法第454条 – 連帯保証の場合の特則
- 民法第455条 – 催告の抗弁及び検索の抗弁の効果
- 民法第456条 – 数人の保証人がある場合
- 民法第457条 – 主たる債務者について生じた事由の効力
- 民法第458条 – 連帯保証人について生じた事由の効力
- 民法第458条の2 – 主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務
- 民法第458条の3 – 主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務
- 民法第459条 – 委託を受けた保証人の求償権
- 民法第459条の2 – 委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権
- 民法第460条 – 委託を受けた保証人の事前の求償権
- 民法第461条 – 主たる債務者が保証人に対して償還をする場合
- 民法第462条 – 委託を受けない保証人の求償権
- 民法第463条 – 通知を怠った保証人の求償の制限等
- 民法第464条 – 連帯債務又は不可分債務の保証人の求償権
- 民法第465条 – 共同保証人間の求償権
- 総則
- 保証債務
- 多数当事者の債権及び債務
- 総則
- 債権