- 民法第458条
- 第438条、第439条第1項、第440条及び第441条の規定は、主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人について生じた事由について準用する。
- 平成29年改正前民法第458条
- 第434条から第440条までの規定は、主たる債務者が保証人と連帯して債務を負担する場合について準用する。
条文の趣旨と解説
平成29年改正前民法では、連帯保証人について生じた事由が主たる債務者に対して効力を及ぼすかどうかは、連帯債務に関する規定である改正前民法434条ないし同440条に従うものとされていました。
このことにより、連帯保証人に対する請求及びその効果が主たる債務者にも及ぶものとされていましたが(改正前民法458条において準用する同434条)、連帯保証人は主債務者が関与しなくとも出現し得ることから、主債務者の関知しない連帯保証人に対する履行の請求が主債務者にも効力が生じるとするのは、主債務者に不測の損害を与えかねないという批判がありました。
平成29年民法改正においては、連帯債務において履行の請求が相対的効力事由に変更され(441条の解説を参照)、連帯保証人に対する履行の請求についても、主たる債務者にはその効力を生じないものとされました(本条において準用する441条本文)。もっとも、連帯保証人について生じた事由の効力を主債務者にも及ぼす旨を事前に合意しておくことは可能です(本条において準用する441条ただし書)。
これに対して、連帯保証人について更改(438条)、相殺(439条1項)、混同(440条)があったときは、主たる債務にも影響を及ぼします(本条による438条、439条1項及び440条の準用)。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 総則
- 多数当事者の債権及び債務
- 保証債務
- 総則
- 民法第446条 – 保証人の責任等
- 民法第447条 – 保証債務の範囲
- 民法第448条 – 保証人の負担と主たる債務の目的又は態様
- 民法第449条 – 取り消すことができる債務の保証
- 民法第450条 – 保証人の要件
- 民法第451条 – 他の担保の供与
- 民法第452条 – 催告の抗弁
- 民法第453条 – 検索の抗弁
- 民法第454条 – 連帯保証の場合の特則
- 民法第455条 – 催告の抗弁及び検索の抗弁の効果
- 民法第456条 – 数人の保証人がある場合
- 民法第457条 – 主たる債務者について生じた事由の効力
- 民法第458条 – 連帯保証人について生じた事由の効力
- 民法第458条の2 – 主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務
- 民法第458条の3 – 主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務
- 民法第459条 – 委託を受けた保証人の求償権
- 民法第459条の2 – 委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権
- 民法第460条 – 委託を受けた保証人の事前の求償権
- 民法第461条 – 主たる債務者が保証人に対して償還をする場合
- 民法第462条 – 委託を受けない保証人の求償権
- 民法第463条 – 通知を怠った保証人の求償の制限等
- 民法第464条 – 連帯債務又は不可分債務の保証人の求償権
- 民法第465条 – 共同保証人間の求償権
- 総則
- 保証債務
- 多数当事者の債権及び債務
- 総則
- 債権